新年になりました。本年も、パーチェスワン・メールマガジンをよろしくお願いいたします。この度のメールマガジンでは、「2023年振り返り〜トピックから見る間接材購買トレンド〜」をテーマに、過去一年間の間接材購買の動き(トレンド)とその背後にある要因を深掘りしていきます。
業界の最新動向から購買戦略まで、今年一年を彩ったトピックスをピックアップ。私たちがどのようにこれらの変化に対応し、今後のビジネス戦略にどのように活かしていくべきかを考えていきましょう。
1. 法令対応
大きなところでは10月から開始された消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されたこと。また、正確には2024年1月になりますが、皆様対応に追われていたと思われます、電子帳簿保存法の改正になるでしょう。
インボイス制度に適応するため、多くの企業はデジタル化された購買システムへの移行を余儀なくされました。これにより、購買DX(デジタルトランスフォーメーション)は大きな推進力を得て、取引の透明性向上だけでなく、データ管理の効率化も実現しました。
電子帳簿保存法の改正もまた、企業にデジタル変革を促しました。紙の帳簿や伝票の保存から電子データ保存への移行を推進するこの改正は、ペーパレス化を加速させました。これにより、資料の検索時間の削減、物理的な保存スペースの節約、さらには環境への配慮という複数のメリットがもたらされました。
これらの法令改正は、企業にとって購買プロセスのデジタル化を促進する重要なきっかけとなりました。購買DXにより、データの集約と分析が容易になり、より戦略的な購買決定が可能になります。また、自動化技術の導入により、注文処理や請求処理の時間が大幅に短縮され、全体的な業務効率が向上しました。
2. ESG・SDGs
昨今のビジネス環境では、環境経営は依然として企業にとって大きな課題です。持続可能な開発目標(SDGs)に対する国際社会の注目が高まる中、企業は環境に配慮した運営を求められています。この動きは、購買活動においても同様の影響を及ぼしており、企業は環境に優しい製品やサービスの選定、サプライチェーン全体での持続可能性の確保に注力しています。
購買プロセスは企業の環境経営戦略を実行する上で中心的な役割を担います。購買システムを活用することで、企業は環境に関する基準やポリシーに基づいた製品やサービスの選択を行い、持続可能性のある購買を実現できます。たとえば、サプライヤーの選定基準に環境パフォーマンスを組み込むことで、サプライチェーン全体の環境影響を低減することができます。
環境経営において、購買プロセスにおける購買管理システムの活用は、この課題に対処する上で重要な戦略となるでしょう。今後は購買管理システムに、環境に優しい購入決定を支援する機能が実装されていくでしょう。
3. 支出の可視化
購買管理システムでの可視化・コスト削減は主要なテーマであり、今後もこの傾向は続くものと思われます。購買管理システムでは、企業が購入する製品やサービスのコストを正確に追跡し、分析することができます。この透明性は、不必要な支出を特定し、コスト削減の機会を発見するのに有効です。
支出の可視化は、単にコスト削減の機会を特定するだけではありません。また、より戦略的な購買アプローチを実施するための基盤を提供します。たとえば、データ分析に基づき、供給業者との長期契約や量販割引の交渉など、より効果的な購買戦略を策定することが可能になります。
支出の可視化とコスト削減は、企業が経済的に持続可能で競争力のある運営を行うために、引き続き重要なテーマであります。購買管理システムの利用により、企業は自社の財務状況をより深く理解し、賢明な財務決定を下すことが可能になります。
4. 間接材購買の特化(MRO)
間接材というカテゴリーをさらに細分化していく傾向も強くなっています。MRO(Maintenance: 保守、Repair: 修繕、Operations: 稼働に必要な備品や消耗品のこと)のようなカテゴリーで語られるようになることが増えてきています。
MROのように購買品目を細かく分類し、分析することは、購買管理における効率性の向上に寄与します。これにより、購入の優先順位付け、在庫管理、コスト削減の機会の特定が容易になることでしょう。
MROのような細分化されたカテゴリーの分析は、購買管理システムのデータ分析機能を活用することでより効果的に行えます。購入頻度、コストの傾向などのデータを分析することにより、企業は資材の適切な在庫レベルを維持し、無駄のない購入を実現することができます。
2024年も法対応や人員不足、インフレ基調などもあり、間接材購買の環境は厳しいものが続くかと考えられます。当メールマガジンでは、皆様の購買活動にヒントとなるようなコンテンツをこれからも発信していけるように精進してまいります。