はじめに
2025年2月、SB C&S株式会社とディーコープ株式会社は「ラウンドテーブル」と題した情報交換会を2回にわたり開催いたしました。本イベントには、のべ15社もの企業さまにご参加いただき、間接材購買における課題や知見を共有する貴重な機会となりました。

間接材購買の分野は、直接材と比較して世の中に情報が出回りにくく、多くの企業が手探りで課題解決に取り組んでいるのが現状です。特に、デジタル化やグローバル化が進む中で、間接材の購買管理はますます複雑化し、各企業はそれぞれの立場で試行錯誤を重ねています。
このような状況において、企業間で知見を共有し、互いの経験から学び合える場を設けることは、業界全体の発展に大きく寄与するものと考えています。今回のラウンドテーブルは、そうした思いを形にした取り組みの第一歩となりました。
参加企業の概要
今回のラウンドテーブルには、日本を代表する大手企業を中心にご参加いただきました。売上規模で見ると、1兆円以上が7社、5000億円以上1兆円未満が2社、5000億円未満が6社と、幅広い規模の企業にお集まりいただきました。

業種別の内訳を見ると、製造業が11社と最も多くを占め、物流・交通業が3社、サービス業が1社という構成でした。各業種の特性により購買管理の細かな違いはあるものの、基本的な課題については業種を超えて共通する部分が多いことが、議論を通じて明らかになりました。

<ラウンドテーブル参加企業>
本田技研工業株式会社、三井化学株式会社、株式会社LIXIL(敬称略、五十音順)、他(2回開催、計15社)
特に、多くの企業が共通して抱える課題として浮かび上がったのが、「購買統制やルールの徹底」と「人材育成・ノウハウ継承」です。前者については、部門ごとに異なる購買慣行の統一や、決裁プロセスの標準化といった具体的な悩みが共有されました。後者については、ベテラン社員の退職に伴うノウハウの喪失や、若手育成の方法論といった課題が挙げられました。
イベントの内容と特徴的な議論
イベントは、SB C&S株式会社 ICT事業本部 パーチェスワン事業統括部 統括部長、ならびにディーコープ株式会社 代表取締役社長を兼任する三松による開会挨拶で幕を開けました。挨拶では、間接材購買を取り巻く環境の変化や、企業間での情報共有の重要性について言及がありました。

その後、参加者の皆さまには3~4社程度の小グループに分かれていただき、テーブルごとの討議を行いました。各企業さまには事前に、自社が直面している課題や、すでに取り組んでいる施策についてまとめていただき、それらを軸に活発な議論が展開されました。
討議の中では、特に以下の3つのテーマについて活発な議論が交わされました:
1. 購買プロセスのデジタル化推進
- ERP・AI活用による発注プロセスの自動化の事例が共有された
- 一方で、現場の業務負担増加や従業員のITリテラシー不足が障壁として指摘された
2. サプライヤ管理の高度化
- 取引先評価基準を標準化する動きが進んでいる
- コスト削減だけでなく、サステナビリティ指標の導入が求められている
3. 組織体制と人材育成
- 若手人材の育成とノウハウ継承が課題
- 研修プログラムの導入や、購買部門のジョブローテーションの有効性について意見が交わされた

事後アンケートからみる成果と課題
イベント後に実施したアンケートでは、すべての参加企業さまから「満足」または「ほぼ満足」との評価をいただきました。特に高い評価を得た点として、以下が挙げられます:
1. 他社の実践的な取り組みを知ることができた
- 具体的な成功事例や失敗事例の共有
- 業界特有の課題に対する解決アプローチ
- システム活用の実態
2. 自社の課題に対する具体的なアドバイスが得られた
- 経験者からの実践的なアドバイス
- 異なる視点からの問題提起
- 具体的な改善提案
参加者の皆さまが特に参考になったと感じられた内容として、以下の項目が挙げられました:
- 購買部門の関与度合いとガバナンスの方法
- 決裁権限の設定基準
- 部門間の連携方法
- コンプライアンス確保の取り組み
- サプライヤ管理の具体的な施策
- 取引先評価の指標設定
- 価格交渉のテクニック
- 品質管理の方法
- 間接材部門における人材育成・配置の工夫
- キャリアパスの設計
- 研修プログラムの内容
- ローテーション制度の運用
一方で、改善を求める声として以下のような指摘もありました:
- 討議時間が不足していた
- 各テーマをより深く掘り下げたかった
- 他のグループの議論内容も知りたかった
これらの課題については、次回以降の開催に向けて改善を図ってまいります。
今後の展望と期待される議論テーマ
参加企業さまからは、今後取り上げてほしいテーマとして以下のような提案をいただきました:
1. コスト改善事例
- 具体的な削減手法
- 効果測定の方法
- 現場との合意形成プロセス
2. 購買業務改善事例
- 業務効率化の取り組み
- システム活用の工夫
- 標準化推進の方法
3. 間接材購買の将来構想
- デジタル化の展望
- グローバル展開の課題
- サステナビリティへの対応
また、運営面での改善要望として、以下のような声が寄せられました:
- 他のグループでの議論内容の共有方法の確立
- 定期的な情報交換の場の設定
- グループ間交流時間の確保
- 資料共有方法の改善
これらのご意見を踏まえ、今後のラウンドテーブルでは、より充実した情報共有と交流の場を提供できるよう、注力してまいります。
間接材購買における課題解決は、一朝一夕には実現できません。しかし、このような形で企業の枠を超えた対話と学び合いの場を継続的に提供することで、業界全体の発展に貢献していきたいと考えています。
次回開催に向けて、より充実した内容となるよう準備を進めてまいりますので、引き続きご期待ください。また、本レポートをお読みいただいた企業さまにおかれましても、次回の開催時にはぜひご参加いただければ幸いです。