調査の目的
間接材の購買は、直接的な製品やサービスには関わらないものの、企業活動を支える重要な領域です。しかしながら、その取り扱いは企業ごとに大きく異なり、総務部門が担うケースもあれば、経理、あるいは現場が主導している場合もあります。そのため、業務フローや管理方法が標準化されづらく、課題の可視化や改善の取り組みが遅れがちです。加えて、間接材購買に関する実態を把握する調査や統計は世の中にほとんど存在しておらず、全体像が見えづらいのが現状です。そこで私たちは、本調査を通じて、さまざまな企業における間接材購買の実態を明らかにし、共通課題や改善余地を探ることで、購買業務の高度化・効率化を支援することを目的としています。
アンケート回答企業の属性
今回の調査では全256社の企業より回答をいただきました。回答企業および回答者の属性は以下のようになっております。
アンケートと回答結果
【設問1】あなたの会社では間接材の購買業務を主にどの部門が担当していますか?
【読み取れること】
多くの企業では、専任の購買部門や関連部門(場合によっては総務・経理等)が間接材の購買業務を担っていることが示唆されます。
→多くの企業では購買・総務・経理部門が担当しているが、一部では他業務と兼任しているケースも見られる。
【設問2】あなたの現在の役職において、間接材購買業務をどのように担当していますか?
【読み取れること】
回答者の役職によって、現場での実務担当、管理・統括、または意思決定レベルでの関与度に違いがあると考えられます。
→ 役職の違いが業務への関与度や責任範囲に影響しており、現場担当者と管理職との役割分担が明確になっていることが窺えます。
【設問3】間接材購買業務において、現在直面している主な課題を教えてください。(複数回答可)
【読み取れること】
調査回答からは、コスト管理の難しさ、プロセスの非効率性、情報の断絶、そして調達先(サプライヤー)との連携不足などが主要な課題として挙げられています。
→ 業務プロセスの改善や、情報共有の仕組みの整備が求められている現状が反映されています。
【設問4】課題解決のために最も活用している情報収集手段を教えてください。(複数回答可)
【読み取れること】
インターネットや業界専門誌、ベンダーからの情報、社内データなど、複数の情報源が活用されていると考えられます。
→ 情報収集手段としては、従来の紙媒体や対面だけでなく、デジタルツールの利用が進んでいる状況が示唆されます。
【設問5】間接材購買業務を管理するためのシステムを導入していますか?
【読み取れること】
一部の企業は既にシステムを導入しており、具体的なシステム名称も挙げられています。一方、未導入企業は導入コストや導入効果に対する懸念、または現状の業務プロセスでの問題意識の不足などが理由として挙げられているようです。
→ システム導入は業務効率化の鍵と捉えられる一方、費用対効果や運用の手間など現実的なハードルが存在しています。
設問5にてシステムを未導入と回答された方、その主な理由を教えてください。(複数回答可)
【設問6】システム導入に対して、社内での主な抵抗要因は何ですか?
【読み取れること】
内部の抵抗要因は①経営層:投資対効果への懸念、②中間管理職:権限の変化への不安③現場:既存の業務プロセスへの固執、教育・研修不足などの懸念が挙げられていると推察されます。
→ 新システム導入に際しては、内部コミュニケーションの徹底や変革マネジメントが重要であることが示されています。
【設問7】システム導入後、最も期待する効果は何ですか?
【読み取れること】
システム導入により、業務効率の向上、コスト削減、透明性の向上、情報共有の改善といった効果が最も期待されていると考えられます。
→ 企業はシステム投資によって、現状の課題を解消し、全体の調達プロセスを最適化する狙いがあるようです。
【設問8】現在の購買管理で、特に苦労している業務プロセスは何ですか?
【読み取れること】
手作業での処理、データ入力や管理、サプライヤーとの連携、そして各種申請・承認プロセスなど、現行の購買管理プロセスにおける業務負荷や非効率が指摘されていると考えられます。
→ 業務の自動化・標準化へのニーズが高いことが窺えます。
【設問9】現在の購買業務において、部門間での情報共有や連携はどの程度行われていますか?
【読み取れること】
各部門間での情報共有や連携にばらつきがあり、十分なコミュニケーションが取れていないケースが存在する可能性が示されています。
→ 部門横断的なシステム連携や情報共有の仕組みの整備が今後の課題として認識されています。
【設問10】購買業務のスキルアップはどのように実施されていますか?
【読み取れること】
定期的な研修、セミナー、外部講師の招聘、またはオンザジョブトレーニングなど、多様な方法でスキルアップを図っている企業が多いと考えられます。
→ 人材育成に対する意識は高いものの、体系化や継続的なプログラムの構築が求められる状況が示唆されます。
【設問11】サプライヤとの関係性をどのように構築・維持していますか?
【読み取れること】
サプライヤとの取り組みを注視していない傾向が強い反面、定期的な面談、評価制度、共同プロジェクトや情報交換会など、サプライヤとの長期的なパートナーシップを重視する取り組みが行われていると読み取れます。
→ 単なる取引関係にとどまらず、相互にメリットを享受できる協力体制の構築も進んでいることが分かります。
まとめ
今回の調査結果からは、間接材購買における業務の担い手が明確化され、担当者ごとの役割が一定の体制で運営されている一方、業務プロセスの非効率性や情報共有の不足、さらにはシステム導入に際する内部抵抗など、改善すべき課題が複数存在していることが浮かび上がります。
また、システム導入により業務効率の向上やコスト削減、透明性の強化を期待する動きがあり、今後の取り組みとしては、内部プロセスの自動化・標準化と、部門間・サプライヤとの連携強化が鍵となると考えられます。
さらに、人材育成やスキルアップの継続的な取り組みも、業務全体の品質向上に直結する重要な要素として認識されていると言えるでしょう。