パーチェスワン・メールマガジン 2026年5月号 その購買業務、年間で何時間ムダ?
効果を数字で示す簡単な考え方

購買業務の改善を進めたい。

けれど、社内で話を進めようとすると「どれくらい効果があるのか」「費用に見合うのか」を説明しきれず、検討が止まってしまう。

このような悩みは、多くの大手企業で共通しています。

売上規模1000億円以上の企業を対象としたアンケートでも、購買改善の効果を「説明できない」が41.1%、「感覚では分かるが数字では難しい」が37.3%となり、合計78.4%が効果の数字化に課題を感じている結果となりました。

現場では、申請書の作成に時間がかかる、承認待ちが長い、発注後の確認が多い、請求処理で手作業が残っている。こうした非効率は日々感じていても、経営層や関係部門に説明する際には、感覚だけではなかなか伝わりません。

そこで今回は、購買業務のムダを「年間工数」として見える化し、社内説明に使いやすい数字へ置き換える考え方をご紹介します。

購買業務は4つの工程に分けると見えやすい

まず確認したいのは、購買業務を大きく4つの工程に分けることです。

1つ目は申請です。商品検索、見積取得、過去発注の確認、申請書の作成などが含まれます。

2つ目は承認です。承認ルートの確認、承認待ち、差し戻し対応、催促などが対象です。

3つ目は発注です。発注内容の転記、サプライヤーへの連絡、納期確認、発注漏れの確認などがあります。

4つ目は請求処理です。請求書と発注内容の照合、検収状況の確認、経理部門とのやり取り、二重入力などが該当します。

アンケートでも、購買業務が止まりやすい場面として「承認されるまで待つとき」が43.2%、「申請内容を作るとき」が36.8%、「請求や支払いの処理」が31.9%と上位に挙がっています。

つまり、課題は申請時だけではなく、承認、発注、請求まで含めた一連の流れに散らばっているのです。

まずは「1件あたり何分かかっているか」を置いてみる

では、どのように数字化すればよいのでしょうか。

最初から細かい原価計算を行う必要はありません。まずは、各工程で「1件あたり何分かかっているか」を置いてみることが第一歩です。

たとえば、1件の購買処理に対して、申請準備に10分、承認依頼や確認に5分、発注作業に10分、請求照合に15分かかっているとします。

この場合、1件あたりの処理時間は合計40分です。

月間300件の購買処理がある企業であれば、40分×300件で月12,000分、つまり月200時間の工数が発生している計算になります。

年間では、200時間×12か月で2,400時間です。

このように見ると、1件ごとの作業は小さく見えても、年間では大きな業務負荷になっていることが分かります。

改善後の時間を置くと、削減効果が見えてくる

次に、改善後の想定時間を置きます。

たとえば、購買ルールの標準化やシステム活用によって、申請準備が10分から6分に短縮される。承認ルートが明確になり、確認や催促が5分から2分に減る。発注情報と請求情報の連携により、請求照合が15分から8分になる。

この場合、1件あたりの削減時間は14分です。

14分×月300件×12か月で、年間50,400分。時間に直すと、年間840時間の削減効果となります。

さらに、担当者の時間単価を仮に3,000円と置くと、840時間×3,000円で、約252万円分の工数に相当します。

もちろん、これは単純に人件費を削るという話ではありません。大切なのは、これまで確認作業や転記作業、差し戻し対応に使っていた時間を、価格交渉、取引先管理、支出分析、ルール整備といった、より付加価値の高い業務へ振り向けられることです。

社内説明では「便利になる」より「何時間減るか」が重要

実際、アンケートでは、上申時の負担として「どれくらい効果があるかを説明すること」が47.0%で最多でした。また、社内検討を進めやすくする支援としては「効果を簡単に計算できるひな形」が51.9%で最も多く選ばれています。

つまり、購買改善を前に進めるうえで必要なのは、単なる機能紹介や理想論ではありません。

自社の業務に置き換えたとき、どの工程で、どれだけの時間がかかっていて、改善後に何時間削減できるのか。その説明材料を持つことが重要です。

社内説明用に整理する際は、次の4項目を表にするだけでも十分です。

現在の1件あたり処理時間。

月間処理件数。

改善後の想定処理時間。

年間削減時間。

この4つを、申請、承認、発注、請求処理の工程ごとに並べると、どこに負荷が集中しているのか、どの改善から着手すべきかが見えやすくなります。

経営層には費用対効果までつなげて伝える

経営層に説明する際は、年間削減時間だけでなく、費用対効果の視点も欠かせません。

アンケートでも、経営が重視する点として「費用に見合う効果があるか」が58.9%で最も高い結果となっています。

そのため、購買改善を提案する際は、「便利になります」ではなく、「年間○時間の工数削減が見込めます」「月末月初の処理負荷を軽減できます」「承認や請求処理の状況を見える化できます」といった形で、数字と業務効果をセットで伝えることが有効です。

購買業務のムダは、日々の業務の中では見過ごされがちです。しかし、申請、承認、発注、請求処理の各工程を分解し、1件あたりの時間と件数で整理すれば、改善効果は社内で説明しやすい数字に変えられます。

購買改善の第一歩は、大きな改革案を作ることではありません。

まずは、今の業務に年間でどれだけの時間が使われているのかを把握することです。

パーチェスワンでは、申請から承認、発注、請求処理までを含めた購買業務の効率化を支援しています。購買改善の効果を社内で説明するための整理や、現状業務の棚卸しに課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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