開催概要
2025年2月26日(水)、東京国際フォーラムにて「Next 調達戦略フォーラム2025 - 他社事例に学ぶ、未来の調達戦略」が開催されました。本フォーラムは株式会社ビジネス・フォーラム事務局の主催、当社およびディーコープ株式会社の協力により実施されました。
経営者、役員および調達・購買、DX、IT・情報システム部門のリーダークラスの方々を対象とした本フォーラムでは、約100名かたが参加登録をされ、本フォーラムでは、変化する経営環境において調達部門が果たすべき役割や、持続的な調達改革に関する最新知見と実践事例が共有されました。近年の供給不足やインフレーション、地政学的リスクなど、調達環境の複雑化が進む中、本フォーラムは時宜にかなったテーマ設定であったと言えるでしょう。
講演内容
講演1「複雑化する経営環境における、調達部門の価値創造とは」
調達研究所の役員、学術界との連携を活用した専門家
- 調達部門の現状と今日的課題
- 部門を越え、全社で実現する調達戦略
- 価値創造の源泉となる調達部門の在り方
従来のコスト削減を中心とした調達から、リスク管理や価値創造を重視する方向へと変化する中、全社的視点に基づく調達戦略の重要性が強調されました。特に「選ぶ時代から選ばれる時代へ」という視点転換は多くの参加者の共感を呼びました。
講演2「持続的な進化がもたらす調達改革」
大手メーカーのサプライチェーン管理責任者
- 長期的視点で築き上げた調達改革の基盤
- 購買統制と業務効率化の両立
- 継続的な改革を実現する仕組みづくり
単発的な改革ではなく、持続的に進化する調達改革の実現方法について具体的な事例が紹介されました。特にサプライヤー戦略やエリア購買という新しい視点は、参加者に新たな気づきを与えたようです。
講演3「調達改革を組織文化へ」
グローバルメーカーの間接材調達責任者
- 抜本的な改革を実現した、「標準化」「共通化」「自動化」にこだわったプロセス
- 改革をゴールにしない、更なる高度化を進める取り組み
調達改革を単なるプロジェクトとして終わらせるのではなく、組織文化として定着させるための具体的な取り組みが紹介されました。単なるコスト削減からリスク回避、さらには社内連携による価値創造へと、調達部門の役割の変化を実感している参加者が多いことが分かります。特にトップダウンによるシステム導入と業務標準化のアプローチは、多くの企業が直面する「理想と現実のギャップ」を乗り越える示唆に富んだ内容でした。
パネルディスカッション「今こそ再考する"調達・購買部門"の在り方」
講演者が一堂に会し、調達部門の組織的位置づけや人材育成、内部監査部門との連携など、各講演では十分に触れられなかったテーマについても活発な議論が展開されました。特に「調達部門の存在価値をいかに社内にアピールするか」という普遍的な課題に対する具体的なアプローチが共有されました。
参加者データ
- 登録者数: 約100名
- 業種別参加状況(多い順)
- 化学
- 電気機械
- 機械
- 輸送用機器
- 卸売
- 卸売
製造業を中心に、多様な業種から参加があり、業界を超えた調達課題の共通性と多様性が明らかになりました。
- 購買部門: 約67%(3分の2)
- その他部門: 約33%
部門別
購買部門の参加者が主体となりながらも、約3分の1が他部門からの参加者であり、調達・購買機能への全社的な関心の高まりを示しています。
- 部長クラス: 約50%
- 次長クラス: 約20%
- 課長クラス: 部長・次長と合わせて約70%
役職別
意思決定権を持つ部長クラスが半数を占め、実務を担当する課長クラスも多数参加する構成となり、戦略と実務の両面から調達改革を考える場となりました。
参加者の声(アンケート抜粋)
セミナー参加の理由
- 「未来の調達戦略の策定検討に、他社事例を参考にしたかった」
- 「調達部門の価値創造に興味があった」
- 「昨今の厳しい調達環境の変化に直面し、ヒントを得たいとの思い」
コスト削減だけでなく「価値創造」というキーワードに多くの参加者が関心を示し、変化する調達環境への対応策を模索している様子が伺えます。
講演1「複雑化する経営環境における、調達部門の価値創造とは」の感想
- 「『選ぶ時代から選ばれる時代』という言葉が心に残った。調達リスクにおけるサプライヤーのサイバーセキュリティは再点検が必要と認識」
- 「当社でもコストダウンではなくコストアヴォイダンス(回避)の考えが強まってきており、他社視点でも近いお考えをお持ちと知り、より深めていこうと思いました」
- 「社内コンセンサスは重要視してない所があった為、課題の共有から始めたい」
コスト削減からリスク回避、さらには社内連携による価値創造へと調達部門の役割が変化していることを、多くの参加者が実感している様子が伺えます。サイバーセキュリティなど新たなリスク領域への対応も課題として認識されています。
講演2「持続的な進化がもたらす調達改革」の感想
- 「購買ルールが先という話は興味深い」
- 「サプライヤーの考え方・区分けなどとてもわかりやすく理解が進んだ」
- 「エリア購買戦略が印象に残った。集中購買だけが良い方法ではないと感じた」
購買ルールの整備が業務効率化の前提となるという基本的な考え方が改めて評価されています。また、一律の集中購買ではなく状況に応じた柔軟な購買戦略の重要性への気づきも得られたようです。
講演3「調達改革を組織文化へ」の感想
- 「業務プロセスの見直しよりも先にシステム導入を優先されたこと、それをOKとしたトップダウンの取り組みに感心した」
- 「業務の層別を行う上で、"理想とのギャップ""やる気度"にて分類を行い、改善活動を進められたことに感銘を受けた」
- 「ユーザ利便性を上げることが結果的にガバナンスの改善につながっていくことを気づかされた」
従来の『業務プロセス先行』という常識を覆す事例が紹介され、多くの参加者に新鮮な驚きと気づきを与えました。また、現場の「やる気度」を考慮した現実的な改革アプローチや、ユーザビリティとガバナンスの両立という視点は、多くの企業が直面する課題への示唆を与えました。
パネルディスカッションの感想
- 「内部監査部門との連携で、統制力が上がることに着目し調達組織の重要性をアピールできるという話はヒントになった」
- 「本編(個々の講演)にはなかった人材育成/マネジメントの取り組みをお話し頂けた」
- 「トップダウン、社内への納得感のある説明をすることで購買組織の存在価値を高めることなど、重要な視点を伺うことができた」
内部監査との連携という新たな視点や、調達部門の価値向上のための社内コミュニケーション戦略など、調達改革を成功させるための組織的アプローチについての知見が共有されました。また、調達人材の育成という永続的な課題についても具体的な取り組み事例が紹介され、多くの参加者の関心を集めました。
間接材購買における課題・関心テーマ(上位3つ)
- 購買DX(購買管理システムの導入、システム活用や業務プロセスの効率化)
- 間接材購買部の組織体制(人員配置、スキルセット、役割分担)
- 購買統制・ガバナンス施策(社内ルールの整備、社内周知施策、契約リスク管理)
多くの企業が購買DXを最優先課題と認識している一方で、システム導入を成功させるためには組織体制の整備やガバナンス強化が重要であると考えています。これは本フォーラムの3つの講演テーマとも合致しており、現代の調達・購買部門が直面する課題を的確に捉えたプログラム構成であったことが伺えます。
本フォーラムでは「調達部門の価値創造」「持続的な調達改革」「調達改革の組織文化への定着」という3つの視点から、先進企業の事例と知見が共有されました。参加者からは「実務に活かせる具体的な示唆が得られた」「自社の課題解決のヒントを得られた」など高い評価をいただきました。
特に注目すべきは、多くの企業が「コスト削減」から「価値創造」へと調達機能の変革を模索している点です。また、持続的な調達改革には全社的な理解と協力が不可欠であり、調達部門の存在価値を高めるための戦略的なコミュニケーションの重要性も浮き彫りになりました。
変化する経営環境下で、調達・購買部門が企業価値の創造にどのように貢献できるか、その道筋を示した意義深いフォーラムとなりました。次回のフォーラムでは、今回のアンケートで高い関心が寄せられた「購買DX」「組織体制」「ガバナンス強化」といったテーマについて、さらに掘り下げた議論が期待されます。
<本セミナーの主催>
株式会社ビジネス・フォーラム事務局: https://www.b-forum.net/
